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ライターと絵描きの二刀流

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対話 其の①  第三話  <創作>

ソルフゲイルの辺境の街セクトシュルツは、商人が集まる街として知られている。

 

周辺の国々の中でも辺境の割にはかなり大きな街で、その総人口は10万人以上とも言われていた。

 

セクトシュルツには、アスレイの所属する上官とその部隊も休息を取りに訪れていて、隊に所属するもの専用に借りた宿屋もあったのだが、街道で拾った娘は敵軍の残党と言う事もあり、それとは別の宿屋に宿泊することにした。

 

「まずは、ゼフィリアと合流しないことには始まらない」

 

アスレイはこの、拾った少女の処遇に悩んでいた。

 

仮にも、一応女性と言う事で、男子たるもの弱っている女性に対しても紳士的でなければ~と言う一念がアスレイの行動を阻んでいた。

 

「何躊躇しているんだよ、素性を知るためにもその真っ黒なフードとマントを外すくらいはしてもイイんじゃねぇか?」

 

と言いながら入ってきた男は、アスレイよりも若干身長の高いスラリとした風貌だったが、髪は漆黒の闇の様だった。

服装もまた拾ってきた少女と変わらない程黒い上着を身に着けていたが、丈が短いせいで下に着ているシャツがほとんど見えている。

 

一番容姿的に違ったのは、その頭には角が生えている事だった。

そう~まるで竜の様な角が生えていたのだ。

 

「シーヴィルはそうやって、何人の女性を泣かせてきたんだ?」

 

シーヴィルと呼ばれた角の青年は、へいへいと言いながら部屋の隅に置かれた椅子に座る。

シーヴィル~あのアスレイが乗っていた黒竜が、人に変幻した姿なのだ。

 

黒竜族はある一定年齢になると誰でも人間に変幻できる能力を得られるため、人類と混血になりやすかったりまたは、多くの国々で使役されたり友好関係を結ぶことが容易にできた、言わば種族に繁栄を導く事が容易な種族だったので、ソルフゲイルでも人間と上手く付き合って、今もアスレイとシーヴィルの様な関係を築いている者たちも多く存在していた。

 

アスレイ達は、仲間の僧侶であるゼフィリアの到着を待っていた。

 

黒竜族の特殊能力の一つである、遠くにいる仲間と連絡を取り合あう能力を使って、ゼフィリアの居た隊に緊急を要する事態だ!と言って連絡をしたのだ。

 

普段は沈着冷静で横柄な態度をするゼフィリアがかなり慌てた様子だったので、これはかなり早く到着すると思っていた二人だったが、この雨の所為かなかなかゼフィリアは来なかった。

 

椅子から立ち上がり、部屋をウロウロし始めたシーヴィルはとうとう痺れを切らして、ベッドに横たえてある少女のフードを外した。

 

「コラ!!シーヴィル!!女性は丁重に扱わないと~・・・!?」

 

と、言いかけた所でアスレイは言葉を失った。

 

少女の髪は銀色をしていた。

少しうねりのある髪質をしていて腰まであろうかと言う長さで、銀色の髪を溶かして型に入れたらそのまま銀の延べ棒になりそうな、そんな輝きだった。

 

更にじっくり見てみると頭には謎の耳が・・・・

 

「コイツ、今や希少存在と言われているあの銀狼族じゃないか?」

 

と、先にシーヴィルが口を開いた。

 

 銀狼族!?

 

アスレイは、にわかに信じがたい表情をして見せた。

何故なら、銀狼族はこのソルフゲイルよりも広い地域で捜索しただけでも、ほんの200人足らずしか存在していない、いわば絶滅に向かっている種族なのである。

 

この銀狼族が絶滅に向かう事となった原因の一つに、その銀色に輝く髪の存在があった。

 

その髪は、1本1本が魔力の集合体で、少し切って分け与えてもらうと人間なら約一週間分の魔力として使用出来ると言われている程なのだ。

 

そんな髪を狙って、多くの銀狼族が狩られた。

今から100年前の事だった。

 

その頃はまだ数千人は居たとされる銀狼族であったが、大国の~そう、ソルフゲイルの襲撃に遭いその殆どの銀狼族が姿を消した。

 

銀狼族は寿命が長い。

エルフほども生きると言われているので、狩っても殺さずに生かして髪を伸ばさせた方が効率が良さそうに見えたが、当時のソルフゲイルの王は捕らえた銀狼族すべてを殺したと記録されている。

 

そうして銀狼族の個体数が激減して、今や滅びの一途を辿り待つしかない状態になっていた。

 

その銀狼族と思われる少女が、今宿屋のこの部屋のベッドに横たえられていた。

しかもかなり状態は良くない。

 

アスレイとシーヴィルに回復魔法の心得があればこの状態を打破する事も出来たのだが、到着の遅れている僧侶ゼフィリアを待つのみの状態になっていた。

 

「アイツ・・・本当に遅いな・・・俺がひとっ飛びして捕まえてこようか?」

 

と、シーヴィルが言ったが、アスレイは止めた。

何故なら、ゼフィリアはシーヴィルに乗るのをかなり嫌がっていたというか、人に変幻しているシーヴィルとはあまりソリが合わない?様子だったので、無理やり迎えになど行ったりしたら大変なことになるかも知れないと思ったのだ。

 

「とりあえず待とう。来ることは分かっているし、多分この雨の所為で遅れているんだろう。」

 

と言って窓を見た。

 

渋灰色の雨は止みそうにない。

 

窓を滴る雨粒を見ながら、アスレイはため息をつくしか無かった。

 

 

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不意に、ドアの向こうから足早に近づく足音が聞こえた。

 

もしや?と思う間もなくドアが勢いよく開いて、近くに居たシーヴィルが吹き飛ばされそうになった。

 

「おい!もっと注意深くドアを開けろよ!」

 

とかナントカ文句を言っていたが、彼女の耳には届いていない。

 

そう、待ちに待ったゼフィリアが来たのだ。

 

「アスレイ、この少女・・・・銀狼族じゃないか!!」

 

最初に言った言葉がそれだった。

 

ゼフィリアは希少生物の保護観察官としても活動しているので、希少存在である銀狼族との接触は彼女に取ってまたと無い機会だった。

 

100年前にソルフゲイルが滅亡の危機に追いやってしまった歴史を知ってからと言うもの、ソルフゲイルの国民として何か償えることは無いだろうか?と考えて来た人の一人でもあった。

 

そんなゼフィリアが仲間であるアスレイとシーヴィルには目もくれず、銀狼族の少女に魅了されていたので、アスレイはゼフィリアに忠告することにした。

 

「ええ~、ちょっと取り込み中のところ悪いんだが、この娘の状態は非常に危険だ早急に対処して欲しい。それと、一応この娘は敵軍の残党だ。それなりの扱いをする様にしてくれないだろうか?」

 

アスレイの言葉にハっとなって我に返るゼフィリアは、少女のフードと黒衣を外しながら感嘆の声を上げた。

 

「これは・・・・驚いた。」

 

少女の胸元には、魔力の集合体である銀狼族の髪がいくつも結び付けられたペンダントが下げられていた。

このペンダントだけでもかなりの魔力を溜めていると考えられたが、ゼフィリアにはそれを使う術が無い。

 

驚きを隠せないまま、回復魔法を仕掛ける事となった。

 

少女を寝かせたベッドの上に魔法陣が出現すると、法術呪文を唱え始めた。

 

(銀狼族に果たして効果があるものだろうか・・・・)

 

ゼフィリアは、回復魔法の効果に疑問を感じながらも魔法をかけた。

 

少女の身体は一瞬ふわりと宙に浮いたかと思うと、すぐベッドに沈んだ。

 

「一応、しばらくすると目が覚める位には回復させたと思うけど・・・」

 

ゼフィリアは額に玉のような汗をかきながら言った。

 

自信は無いけど、希少な存在が目の前で息絶えるのだけは見たくない!

そんな気持ちで魔法をかけた。

 

それに、敵国の兵士だったとしても、傷ついて倒れている人を見捨てる様な事は出来ない体質だったので、丁寧に魔法をかけた。

 

 

3人は、なかなか目覚めない少女をジっと見つめるしか無かった。

 

このまま目覚めなかったら・・・・

と言う悪い考えも何度か頭をよぎったが、その考えを現実のものにさせてはいけないと思った。

 

銀狼族だから?

 

いや・・・・違う。

そう、アスレイは自分に言い聞かせていた。

 

 

「う、うう・・・・」

 

少女の口から声が漏れた。

 

一同はさらに注目する。

 

少女は、うっすらと目を開け始めた。

そして周辺を確認している。

 

「あれ?街道沿いじゃない・・・・」

 

そう呟きながら目を見開いた。

 

その瞳の中には、少女を見つめる3人の姿が映った。

 

(ええっ?!えええっ?!何?ナニ~!!?)

 

困惑する少女・・・・リテラには、全く状況がつかめなかった。

 

 

 

続く。

 

 

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