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残党狩り  第二話   <創作> 銀色の風は炎の中で吹く

隣国、ルキソミュフィア軍のの残党狩りをしていたアスレイは、見てきた範囲にもう残党が居ないことを確認すると、相棒の黒竜であるシーヴィルに乗り今いた場所とは反対の方向へ移動した。

 

隣国ルキソミュフィアは農業が盛んな国で、戦が始まる前は割と良い国交を保っていた国だったのだが、とある要因が両国との関係を悪化させた事により一気に戦へと向かって行ったのだ。

 

アスレイの組する国ソルフゲイルは軍事国家で、黒竜族との契約を経てこの100年の間に周辺国家をほぼ制圧することに成功し、大国と呼ばれるほどになっていた。

 

その中に置いて、黒竜との契約が実を結んだ子~竜族との混血の子供として丁重に扱われてきたのがアスレイであった。

 

アスレイに流れる竜血は、多くの黒竜を従えさせるのに十分な役割を担っており、今やソルフゲイル軍の中枢と言っても過言では無い役職に就かされていた。

 

そんなアスレイだったが、残党狩りには反対の異を唱えていた。

 

元々農業しかしていない国家の軍人に対して、非道過ぎるのでは?と言う意見を、所属する部隊の上官に訴えた。

 

上官は、国王の命によるものと~一点張りだったのだが、その言葉には真意がくみ取れなかったため納得は出来なかった。

 

しかしアスレイはその場では了承した様に見せかけた後、任に赴いてからは残党よりも負傷者を探して動き回っていた。

 

アスレイの見てきた範囲では今の所、残党らしき人影を見つける事は無かった。

 

いや、既に友軍に狩られてどこかに捨て置かれているのかも知れない・・・と言う現実もあるかも知れない。

 

しかしこの雨の中、世界が渋灰色に染まる中で、残党が残っていないことを願うばかりだった。

 

 

ふと、シーヴィルがある一点を見つめた。

 

どうした?と声をかけると、破壊された街道が目に入る。

 

かつては、美しい石畳で馬車の往来も楽な道として両国の商人の馬車が行きかう道だったのだが、今やボコボコと大穴がいくつも空き、とても馬車が往来できそうに無い状態になっていた。

 

その街道の傍らに、何やら黒いものが落ちているのが見えた。

 

黒いものは水たまりに突っ伏しており、生きているのか死んでいるのか分からない状態だったが、アスレイは迷わずシーヴィルを地上に降ろした。

 

近づくと、黒いフードと黒衣に身を包んだ魔導士だと言う事が分かった。

 

見た目はまだ少女だった。

 

生死を確認するために、手首の脈を取った。

 

・・・・・まだ生きている!

 

しかし、長時間この雨に晒された事もあり、命の危険は迫っている事は明白だった。

 

アスレイは少女を黒竜の背に乗せ、急いでこの場から一番近い街に向かった。

 

渋灰色の雨は、まだ降り続いていた。

 

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続く。

 

<3話>

syaoruu.hateblo.jp

 

 

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